から一転、中盤からは「ヒライテル」「踊る人たち」「Jamaica Song」など、アップテンポな楽曲が次々と飛び出し、椅子に座って静かに耳を傾けていた人たちも、ひとりふたりと立ち上がり、やがて場内は賑々しい雰囲気に。そして、ひとしきり空気が温まったところで、ここぞとばかりに演奏された「うららかSUN」で会場は大爆発! バンドの演奏に合わせて、歌をくちづさみ、身体を揺らしてリズムを刻むオーディエンスたち。お母さんに連れられてやってきたチビッコも大人たちの熱気につられて拍手&スクリームで応戦。
がアコギをエレキに持ち替え、とびきりファンキーなアレンジで「Wake Upしてください」を披露! ズシリと重いファットなリズム・セクションに、ねっとりとしたギター・ソロが絡む。そんな意表をついた展開に、さらに追い討ちをかけるかのように、この日、二組目のゲストとしてステージに現れたのは、スチャダラパーのBOSEとANI! 二人の繰り出す巧みなフロウに会場のテンションも一気に上昇! そんな中、間髪いれずに披露されたのは、不朽のヒップホップ・クラシック「今夜はブギ―バック」!! タカシくんのスムースなヴォーカルとスチャのナイスなラップのコンビネーションも絶妙で、まさに「♪ここでしか観れない景色/ここでしか吸えない空気」を存分に味わえた最高のひとときだった。
でホッと一息つけたかと思いきや、サプライズは、まだまだ続く。アンコール1曲目で演奏されたフィッシュマンズのカバー「WALKING IN THE RHYTHM」。これも、また今までのハナレグミらしからぬ、なんともスペイシーなアレンジが施されていて! 明滅するライトの中で、めくるめく広がっていくサイケな音の曼荼羅に、“宇宙 東京 代々木”てな具合に思わずトリップ! 「静かに聴く感じでハナレグミを観に来てる人もいるかもしれないけど、この曲で君たちの腰を動かしたいんだ」。そんなMCも含め、この曲からはハナレグミが今後、追求していくであろう新たなサウンド・スタイルが垣間見えて、なんとも興味深かった。
、かすかに聴こえてくるギターの慎ましやかな調べに乗せて歌われた「MUSICA」で会場が一旦、落ち着きを取り戻したところで、ライヴはいよいよ終盤に突入。聴き手を温かな郷愁の彼方にいざなってくれる「家族の風景」、センシティヴなムードが漂う新曲「きみはぼくのともだち」、そして、もはやスタンダードと化した感のある「サヨナラCOLOR」と、最後は再び、弾き語りを中心としたサウンドに乗せて、味わい深い歌声をしみじみと聴かせてくれた。シンプルな演奏でじっくりと歌声を聞かせる一方、聴き手の腰を揺さぶるグルーヴィな仕掛けが随所に施された今回のステージ。「フォークミュージックとダンスミュージックが僕の中では自然な形で結びついてる」というタカシくんの独自なフィーリングを今までになく色濃く反映したライヴだったように思う。そして、家路に向かうお客さんの顔を見れば、そこに浮かんでいるのは、どれも、これ以上ないというくらいの充足感に満ち溢れた、笑顔、笑顔、笑顔! 会場を出たときに感じた、ひんやりとした夜の空気もこの日は、すこぶる心地よいものに思えた。
Text:望月哲
Photo:SUSIE
弾きが旅だよ人生は! «YOYOGI DE 360度ステージ囲みまくって熱唱しまくっちゃいナイト»
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